「エースナンバー」 須賀しのぶ 著
「夏は終わらない」も読みました
「雲は湧き、光あふれて」に続くシリーズで全3冊
もう続きは出さないのかな?
「雲は~ 」では短編が3つ
それぞれ戸城高校、三ツ木高校、普川商の話
普川商だけは時代が違って戦時下
後の2冊は三ツ木高校の話が中心でエースの月谷の世代の物語
スポーツ物はアニメや漫画だと表面しか見えないからただのスポ根になりやすいけど、小説だとより深く本人に迫れるので何をどう選択して行動するかがある種のサスペンスみたいに緊張感があって面白い
そう思えるのは著者の技量でしょうけどね
素人監督の若杉は、主将で三年生の中村をレギュラーから外すか悩んでいた。野球への情熱と練習に打ち込む努力は人一倍だが能力がない。
試合に出してやりたいが、勝てるチームを作るのも監督の仕事だ。
ってあらすじを書くと、なんだか今世間を騒がせている大学スポーツ事件の根本的な問題がここにある気がしますね
他にもチームではダントツにうまい笛吹の葛藤とか、一人でがんばるマネージャーとか、うまく補給できなくてピッチャーの実力を引き出せないキャッチャーとか
高校野球なら想像できる話たちだけど、この著者はどれも丁寧に、そしてきちんと踏み込んで書いてくれるからおばちゃんの私でもきっちり感情移入できるのよね
さすがです
他作家の作品を引き合いに出すのは失礼だけど、近藤史恵のロードレースシリーズが好きな方にはお薦めです
サスペンス要素はありませんが(笑)